「第２９回全国経済同友会セミナー」開催
全国４４の経済同友会が共催する「第２９回全国経済同友会セミナー」が、４月１４日～１５日の２日間の日程で、岡山市で開催された。
同セミナーには、全国から過去最多の約１４２０名が参加。
広島経済同友会からは、森信・池田両代表幹事をはじめとし、総勢４３名が参加した。
総合テーマは「世界に輝く地域を創ろう～桃太郎の郷（くに）から発信～」で、基調講演や分科会により地方創生の方策について、２日間にわたり議論をおこなった。
開会にあたり、全国経済同友会セミナー企画委員会委員長で経済同友会副代表幹事を務める隅修三氏が、「政府や自治体に頼るのではなく、自分たちが出来ることからその取り組みを発信していくことを共有した上で、分科会などで会場の皆さんも積極的な議論をお願いしたい」と挨拶しセミナーはスタートした。
続いて、岡山経済同友会代表幹事の萩原邦章氏が、過去最多となる会員の参加に感謝の意を示すとともに、今回のセミナーの概要を説明した。
そして２日間を通して、「勇気を象徴する犬、知恵の猿、情報の雉、そしてそれらを従えた桃太郎の挑戦。政治・暮らしなど構造的な問題を抱える日本、さぁ！みなさんで、わが国の活性化の糸口を地方から発信していくために、ご一緒に考えてみましょう。そして、このセミナーのような１年に１度の機会に、他の地域の同友会会員の皆さん方と新たな知遇をつくるなど、会員同士の親睦を大いに深めてほしい」と呼びかけた。
続く基調講演では、英国人ジャーナリストでエコノミスト誌元編集長のビル・エモット氏が、「『地域』から日はまた昇る」、と題して講演を行なった。
同氏は、「世界経済は困難な時代を迎えているが、中央政府頼みでは問題解決は期待できない。より良い未来は地域レベルで創っていく時代だ」と指摘した。
そのためには、地方にある知性やエネルギー、歴史・文化などの資産の活用が必要で、「イタリアのトリノ、英国のマンチェスターの取り組みが参考になる」とした。
地方都市の活性化には、「近隣自治体間の連携、地域の企業との協働、教育機関の育成・充実が重要である。文化・環境などのインフラ整備に取り組む必要もあり、未来を創るのは、地方都市の企業やコミュニティーである」と強調した。
分科会では、それぞれが希望するテーマに分かれ議論に参加した。
第１分科会の「日本ものづくりの復権」から、「分散型電源による地域経済の活性化・エネルギー供給網の強靭化について」、「医療・介護改革で世界の先端をいく安全安心な社会を」、「地域の特色ある『スポーツ・文化』を活かした『まちおこし』『観光振興』、「地方創生に向けた課題」などの５つの分科会が開かれ、熱心な議論が展開された。
広島経済同友会と岡山経済同友会が担当した第３分科会のテーマ「医療・介護改革」には、広島大学大学院放射線腫瘍学教授で広島がん高精度放射線治療センター・センター長の永田靖氏がパネリストとして登壇。
永田氏は、広島県が整備した同センターを広島市内４基幹病院が連携して取り組むに至った経緯や内容を紹介。
「各施設が高額な放射線治療装置を持つのは非効率であり、新センターは効率的であり人材育成にも役立つ」と述べると共に、「ネットワーク型がんセンターの今後のあり方」などにも言及した。
４月１５日は、５分科会の議長が登壇しそれぞれが議論した内容を報告する「分科会報告」で始まった。
その後、経済同友会代表幹事の小林喜光氏が総括挨拶ということで、ビル・エモット氏の基調講演から学んだトリノとマンチェスターの事例や、女性と高齢者の活躍、さらには分科会の内容を「オープン・イノベーション」「エネルギー」「医療介護」「スポーツ・文化、まちおこし、観光振興」「地方創生の課題」にまとめ、それぞれのキーワードを挙げながら振り返り、２日間にわたる議論を締めくくった。
特別講演では、大原美術館理事長で岡山経済同友会顧問の大原謙一郎氏が、「文化・芸術・人文学の力・・・経済人の視点から考える」と題して講演をおこなった。
講演では、大原美術館をはじめ、「日本の美術館は民間人がつくってきた歴史があり、個人の思いが詰まっている」と説明すると共に、「文化・芸術・人文学は、万能ではないが無力でもない」と指摘した。
そして世界が大きく動いている今こそ、「日本でも『文化・芸術・人文学』の復権が不可欠である」、と強調した。
そのためにも、経済同友会として市民として何ができるのか問いかけ、「文化・芸術・人文学への支援の形を考え、サポートする機運を盛り上げてほしい」と訴えた。
その後、仙台経済同友会代表幹事の大山健太郎氏が次期開催地代表幹事挨拶をおこない、最後に岡山経済同友会代表幹事の松田久氏が閉会の挨拶に立ち、２日間にわたる「第２９回全国経済同友会セミナー」は幕を閉じた。