世界経済は地政学的緊張や保護主義の拡大など不確実性を抱えつつも、インフレの沈静化と金融政策の転換を背景に、緩やかな成長を続けている。日本では企業収益は堅調な一方、物価高と実質賃金のマイナスが家計を圧迫しており、物価・賃金の好循環を定着させられるかが問われている。また、地球温暖化の進行に伴い、記録的猛暑や線状降水帯による豪雨など極端気象が頻発し、全国各地で洪水・土砂災害リスクが高まるなか、南海トラフ巨大地震の被害想定見直しが行われる等、防災・減災とBCPの強化は全国共通の経営課題となっている。
こうした外部環境のもと、広島県では人口減少と少子高齢化が一段と進み、とりわけ若年層の県外流出が顕著で、労働力不足や地域コミュニティの担い手減少が産業と暮らしの両面に影響を及ぼしている。県は「若者に選ばれる広島県」を掲げ、人への投資や人的資本経営の推進に取り組んでいるが、企業・大学・行政が一体となった中長期的な取組の加速が求められている。
一方で、G7広島サミットを契機とした「ヒロシマ・平和」への関心の高まりは、被爆80年を迎えた2025年度に向けて一層強まっている。2024年度の平和記念資料館の入館者数は226万人余りと過去最高を更新、2025年度上期も前年を大きく上回るペースで推移しており、3年連続で過去最多を更新する可能性が高い。インバウンドを含む観光需要の回復と広島駅新駅ビルの本格稼働、路面電車(広電)の駅ビル2階への直結による乗り継ぎ利便性の向上など、都心部再開発の進展は、国際平和・観光拠点としてのブランド価値と都市の拠点性をさらに高めつつある。
このように、広島県は人口減少・人手不足や気候変動リスクといった構造的制約と、都市基盤整備や国際的認知度向上といった成長の芽が併存する転換期にある。 以上の事を踏まえて、広島経済同友会では、次の基本方針に基づいて活動する。
令和8年度は、「持続可能な都市(まち)を目指して ~50年後の未来へつなぐ~」を引き続き活動テーマに掲げ、持続可能な地域社会の実現に向けた取組を一層前進させる。
当会の4本柱である「ひとづくり」「まちづくり」「しごとづくり」「オール広島」のもと、GX・DX、人材育成と多様な働き方、地域のウェルビーイング向上を横串として、各部会・委員会・支部の活動を展開する。「ひとづくり」では若者を含む多様な人材が広島で学び・働き・チャレンジできる環境づくりを、「まちづくり」では駅周辺・都心部再開発や地域資源をいかした魅力ある都市・地域空間の形成に取り組むとともに、今年度から、従来「しごとづくり」のカテゴリーにあった「観光振興委員会」を、その親和性を踏まえて、「まちづくり」のカテゴリーに再編成する。「しごとづくり」では中小企業を含む産業競争力強化とGX・DXによる生産性向上とイノベーションの創出を、「オール広島」では6支部ネットワークによる広域連携の強化を図る。
また、「安全・安心」と「幸福度」の両立を重視し、南海トラフ巨大地震や気候変動リスクを考慮して強化したBCPに基づき、事業継続力と地域防災力の向上に努めるとともに、職場づくり、まちづくり、教育・人材育成などにウェルビーイングの視点を横串として浸透させていく。
以上の方針のもと、広島経済同友会は、「オール広島」での連携と共創を一層強め、50年後の子どもたちに誇れる「持続可能な都市(まち)」の実現に向けての責任と役割を果たしていく。
※「50年後の未来」について
2016年都市機能委員会提言「『国際交流平和都市新生“ひろしま”』を目指して~50年後も輝き続ける広島であるために~」以降、当会では、「50年後」は実際の50年後の将来を断定するものでなく、今の選択が、広島の将来価値を高める未来につながるのかといった視座に基づき、世代を超えた長期ビジョンを共有する言葉として使用しています。
上記の基本方針のもと、以下のとおり部会・委員会を構成する。
(1)ひとづくり :ひとづくり委員会、ダイバーシティ委員会
(2)まちづくり :まちづくり委員会、文化振興委員会、観光振興委員会
(3)しごとづくり:ものづくり委員会、創業支援・事業承継委員会
(4)オール広島 :国際委員会、ウェルビーイング推進委員会、交流部会、総務部会