昨年度の経済視察では中国を代表する近代都市・深圳で、事務機器大手リコーのグローバル生産拠点の視察を行ったのち、香港を経由して中央アジア・モンゴルを訪れた。モンゴルは我が国から比較的近隣に位置し、かつ角界でのモンゴル人力士たちの活躍を通して心理的な距離が近いものの、訪れるのは初めてという会員がほとんどであった。株式会社ロジコムホールディングスの大上正人社長(在日本モンゴル国名誉領事)ならびに駐日モンゴル大使館員の同行と熱意あるサポートのお蔭により、首都ウランバートルに位置する商工会議所や現地企業、在モンゴル日本大使館よびJETROなどへの訪問を滞りなく実施できた。
国土面積は日本の約4倍に及び、大草原と大砂漠からなる広大なこの地の国民はわずか354万人。北にはロシア、南には中国という世界有数の軍事大国に挟まれたこの国が、いかにして独立を守っているのか。どのような歩みを経て現代に至り、これからどのような未来を描こうとしているのか。強大な共産国に挟まれつつも、なぜ大変な親日国家なのか。そして人類史上最大の大帝国を築き上げたモンゴル人とは、どのような人々なのか。歴史、経済、政治、現地の方々との熱い会話、すべてにおいて驚きを伴う大きな学びの時間であった。
エクスカーションではウランバートルから郊外に足を延ばし、雄大な自然の中で現地の伝統的移動式住居(ゲル)での歓迎を体験した。馬乳酒の強い香りも怯まず味わう会員、馬に汗をかかせながら乗馬を楽しむ会員、ただ悠々と景色を眺める会員。チンギスハーンの大軍が駆け抜けた遥かなる大草原の風に身をゆだね、みな思い思いひとときの憩いの時間を過ごすことができた。
本年は慣例に従い、比較的遠方であり、欧州文化圏のオーストラリア(ニュージーランド)への視察を企画している。オーストラリアは我が国にとって重要な資源供給国であり、そのため資源開発や脱炭素ビジネス、農業DXや木材資源においても学ぶべき内容は多い。また自動車産業においてはマツダのシェアがトヨタ、フォードに次いで第3位と非常に高い国でもあり、広島とも強いつながりも有している。さらに膨張する中国に対して環太平洋の平和と安全を維持する戦略的パートナーとして「自由で開かれたインド太平洋」構想を共有するなど、今後ますます我が国と重要なパートナーになりうる国といえよう。そうした観点から、会員企業の未来に重要なヒントとなるような視察を企画してまいりたい。